ドイツ軍の公式資料が電子化され閲覧可能になっています。

 ドイツ国防軍最高司令部(OKW)及びドイツ陸軍総司令部(OKH)及び各司令部が戦中戦前に公式に作成し使用した資料などです。中身は戦争関連の多岐に渡り生産量や敵情、多数の図版(部隊配置図、作戦図、要塞配置図、道路網など)も含みます。
 また、それとは別項目にWW1関連のドイツ軍が保管していた資料も多量にあります。

【※重要】内容物に関し、学術研究以外での使用・転載は基本的に禁止されています。

OKH, OKW等のドイツ軍の公式資料

ロシア・ドイツ共同プロジェクト【ロシア(旧ソ連)文書館に保管されているドイツ資料の電子化

本プロジェクト内におけるドイツ軍関連資料の電子化及びリスト化」のサイトページ
→ WW2リンク
URL :  http://wwii.germandocsinrussia.org/ru/nodes/1-fond-500
→ WW1リンク
URL : http://tsamo.germandocsinrussia.org/ru/nodes/1-germanskie-dokumenty-pervoy-mirovoy-voyny-tsamo-fond-500-opis-12519

文書保管集積元【ロシア国防省中央文書館
(露:Центральный архив Министерства обороны Российской Федерации 略称:ЦАМО РФ 英:Central Archives of the Russian Ministry of Defence)

【WW2トップページ大項目】

・ドイツ国防軍最高司令部(OKW)
・ドイツ陸軍総司令部(OKH)
・B軍集団/中央軍集団
・ヴァイクセル軍集団
・第1~10軍、バルク、ドゥミトレスク、 フレッター=ピコ、 ヴェーラー集団軍の各司令部
・第1~101軍団の各司令部
・ソ連軍偵察情報部のドイツ軍分析資料
・ドイツ国防軍の庶務処理資料

大項目

サイトページの簡易解説

 終戦間際~終戦直後にドイツからソ連が回収していった資料が1960年ごろソ連国防省中央文書館に一元的に管理されて研究に使用されるようになりました。その数は凄まじい量に及んでいます。それをこの度、電子化して学術研究用に一般公開されました。
(一部の資料はコピーを取られておりドイツ連邦の公文書館などでも同じものがあるはずです。)
 ヒトラーやハルダー達が実際に使用したモノを自身が見るというのは感慨深いものがあります。

 最初の説明ページに堂々と書かれている通り「一部の書類は戦場でソ連軍が捕獲したか、あるいはドイツ国防軍が書類を処分しようとしていた時に取り押さえた」戦利品です。燃え跡があるのはそのためか、あるいは戦火の中で回収されたためです。

【使用上の注意】

意訳:本サイト内に保存されている内容物は学術研究に使用することを目的としており、無断の転載及び商用使用はロシアルールで許さない。これに同意する者のみ閲覧を許可する。
承認_転載禁止
(かなり緩いロシアの匿名掲示板ですらここの内容物は転載している者はいないです。やったらどうなるかは知りませんが絶対やめましょう)

対応言語:ロシア語、ドイツ語(画面右上の国旗クリックで変換)

【トップページ大項目】

・ドイツ国防軍最高司令部(OKW)
・ドイツ陸軍総司令部(OKH)
・B軍集団/中央軍集団
・ヴァイクセル軍集団
・第1~10軍、バルク、ドゥミトレスク、 フレッター=ピコ、 ヴェーラー集団軍の各司令部
・第1~101軍団の各司令部
・ソ連軍偵察情報部のドイツ軍分析資料
・ドイツ国防軍の庶務処理資料
大項目

【小項目一覧】

 全体の小項目一覧が見出し画像とタイトル付きで造られています。それらは基本的に時期で分けられて、だいたいの類似物もまとめられており極めて見やすいです。見出し画像もわかりやすく後で見返すのも容易。これがこの図書サイトの最大のメリットだと思います。これをクリックすると内容資料のページにいけます。
(各資料の見出し画像一覧サンプル)
OKH資料
作戦図など
OKHグラフ

【内容資料】

 (内容物は転載禁止のため画像は貼りません)
 まず開くと図書番号、資料タイトル、資料の内容の要約、たまに資料の背景などの解説がA4一枚程度に整然とまとめられた文章欄が右にあります。
 その下に内容資料があります。ここの各ページも全て見出し画像が造られており、資料内のどこのページか後で見返すのも非常にやりやすくなっている親切さです。

 内容部は1ページの図版(巨大な戦況図有り)で終わっているモノから数百ページに及ぶ文章がびっしりと書き込まれたドキュメントまで多岐に渡ります。どれも高解像度で感激します。

オススメ紹介

 あまりに資料が膨大すぎるので、例としてOKH作成の資料をいくつか紹介してみます。
(リンクはタイトルに埋め込み)

黄の場合_ドイツ西部国境の連合軍配置図

黄の場合_ドイツ軍の配置詳細図

マジノ線北西部及びオランダ・ベルギーの要塞網羅地図


ソ連軍の東欧州の要塞配置図

バルバロッサ作戦開始時のドイツ軍各部隊配置詳細図
 これを元に作成された図が載っているロシアの軍事書籍シリーズが邦訳されてたりします。

余談

…お察し頂けるでしょうがソ連の戦利品・賠償に関わる問題です。

 「ソ連が解体され隠されていた資料が新たに公開された」というフレーズはたまにご覧になることがあるかもしれません。ソ連が持っていたドイツのデータというのもその1つです。ただソ連からロシア連邦になったからと言って素直にロシア政府・軍部が旧ドイツの資料や物品を返すほど簡単ではなく、かなりこじれた問題のようです。

 いくつかの資料はソ連(ロシア)の各文書館で閲覧可能だったそうですが、そんな所に簡単に行けるはずもなく、そもそもドイツは資料の原本そのものの返還を要望してきました。ソ連が「情報源はドイツ軍の公式資料」と言って主張してきた場合もその前後のつながりや関連資料が部外者に検証が困難だったりすることもあり、ドイツ以外の国や学者も公開及び返還を求めてもいました。(ドイツ国内では戦争犯罪にも関連し色々あるようですが…)
 戦利品として正当な権利を主張する後継国家ロシアからすれば安易な返還は厄介事を招きかねないので随分と慎重に、鈍重に話が進んでいました。
 結果として電子化の流れに乗って、あらゆる研究者・国民に電子化して無料公開しようという結論に至ったのは一部の人々に熱烈な歓喜を持って迎えられたことでしょう。

 未だに軍関係以外の文化財や技術資料なども含め公開・返還が完全にされたかは微妙なのですが、ソ連共産党資料などとも合わせて逐次公開が進んでいます。
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【参考日本語サイト:図書館に関する情報ポータル】

 独露の戦利品図書問題のその後
http://current.ndl.go.jp/ca1168
 ロシア連邦公文書館、スターリンやソビエト連邦共産党の文書資料等を提供する「ソビエト時代の文書」ウェブサイトを公開
http://current.ndl.go.jp/node/23715 
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 ドイツの文書館とこのソ連の回収資料を合わせた数は膨大ですが、それを調べるドイツ軍研究者・嗜好者の数と熱意はそれを上回っています。どんなことが為されるのかとても楽しみです。

 このサイトの作成理由の1つが、このドイツ軍公式資料が閲覧可能なことを1人でも多くの人に知ってもらうためでした。本資料を研究してくれている方々、見てくれた人々、誰かに伝えてくれた皆様、本当にありがとうございます。

(2018年6月26日 サイト編纂者)