情報確認中。日付は半日~1日ズレ

 2019年4月現在、第二次リビア内戦が動きを見せトリポリ政府軍(GNA)とトブルク政府リビア国民軍(LNA)が交戦中です。国連事務総長の説得も実らずLNAのトリポリに向けた進軍が開始され国際的に広く認められているトリポリ政府は危機に瀕しています。
 しかし4/8時点で限定的な反撃が確認され戦況が著しい変化を見せており、トリポリ南面での逆包囲作戦が展開中の可能性があります。この反撃をトリポリ政府軍が続けられる体力があるのか注視しています。

 以下にはトリポリ南面での戦況の個人的なメモを残します。現在進行系であり情報は全て確認中かつ日付にズレありです。急ぎのため恐縮ですが他者に読んでもらえる質の文にはできず申し訳ありません。
20190331全体

2019年3月末の勢力図。※都市以外は人口過疎地帯が多く未確定 画像出典:Suriyakmapsより

LNA攻勢作戦名=「尊厳の氾濫」作戦 Operation Flood of Dignity
GNA反攻作戦名=「憤怒の火山」作戦  Operation Volcano Rage
広域状況:LNA側の攻勢
攻勢発起側:LNA先制
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03/31
 LNAトリポリ南部の街ガリヤン(Garian/Garyan)周辺に対し攻勢。ガリヤンそのものは以前からLNAが南から進軍していたが占拠とは言えていなかった。(要確認)
南⇒北の順番で主要街道を通り突出型の挟撃を形成、進軍及び連結成功。(北からの攻勢はほとんどなかった可能性有。)孤立しかけていた北西LNAとの接続に成功したことは大きい。

⇒逆にリビア西端のTijiなどのトリポリ政府領域は孤立。加えてトリポリ南部Kikla町、Algwalish一帯のトリポリ政府軍は局所的包囲の危機。しかしLivenewsmapなどは南西部はLNAの部隊は制圧しておらずトリポリ政府領域の突出形としている。
⇒包囲環の即時収縮による撃滅は行われなかった。人口過密地帯ではないため放置し首都トリポリを優先か。
20190324_未確定 20190331_北部からの進軍未確定



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04/03
正式にLNAのハリファ・ハフタル(Khalifa Haftar)がリビア西部攻勢作戦の開始を発表。
ただしこの時点では大規模攻勢まで到っていない。国連事務総長が進軍停止を求めて活動。
20190403

ソース https://www.afpbb.com/articles/-/3219391
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190406/k10011875011000.html
Livenewsmap
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04/04
正式にLNAはトリポリ攻勢を発表
上記ガリヤンの挟撃成功・占拠が確認されている。この地点の進展を確認した上でLNAはその北部トリポリへの攻勢を決定したと思われる。同日中に西北部の攻勢激化。トリポリ周辺以外は攻勢はほとんど起きていない。
20190404

https://jp.reuters.com/article/libya-security-idJPKCN1RH2BI
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04/05
・攻勢方向はガリヤンから北上+トリポリ西部海岸線そばLNA地帯からの北東進。
北上部隊はトリポリ周辺まで到達(南20km前後)。まだ到達のみで占拠に到っていない。

・トリポリ西部ではAl-Zahra付近から北上しSayyad海岸線へ攻撃している。トリポリ西部の大都市Al-Zawiyahの局所的包囲を狙った可能性もあるがAl-Zawiyahでの交戦も激化しており単に制圧できていないだけと思われる。
20190405

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04/06
東西に走る道路が焦点。南20km位置で近づけなくなっている。市街地であることに加えてトリポリ政府の反撃が激化。空爆あり。
LNAは南20kmラインの東端(中心市街から南南東位置)において北上を狙ったと思われる攻撃が確認される。進展は不明瞭。ここが主攻だった場合、トリポリ市街外縁まで北進⇒北東へ攻勢軸を転換、海岸線までの到達を狙っている。
⇒LNAはトリポリ市街包囲を企図している可能性。右翼の攻撃軸はAyn-Zarah~Tajoura港か。
【暫定】
左翼=Sabrata街からAl-Zahra街=トリポリ西部~南西
中央=TwaishahとAl-Sawaniの中間からトリポリ国際空港=南西~南
右翼=トリポリ国際空港以東=南東(東部展開企図)
20190406~07
(4/5~4/6に日付修正すること、以下の図も同様)
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04/07
戦線が膠着。トリポリ中心から南南東位置でLNAの連続した攻撃が確認される。わずかに前進。トリポリ市街包囲を狙っている可能性が更に高くなった。
ど真ん中で突進して市街戦をするよりこの狭域包囲をしてからの方が良いと考えるのに違和感は無い。

同日、トリポリ政府が反攻を宣言
トリポリ中心市街の南南西位置での前進が確認される。トリポリ政府軍南進開始。LNAに占拠されている南方地帯でもトリポリ政府側勢力が呼応して活動。南南西はAl 'Aziziyah街道沿い。Al 'Aziziyah街の真北まで奪還。
20190407~08

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04/08
トリポリ政府軍の反撃が大規模進展。だが南南西位置のAl 'Aziziyah道街道沿いとその両脇のみである。南南東のLNA右翼部隊の戦線は膠着している。逆にいうとこの位置は囮でLNA右翼を引きつけている。最右翼(東)端部隊は既に後退を始めた可能性が指摘されている。

トリポリ政府軍は南南西に突進しAl 'Aziziyah街を奪還。街道に沿って南に進路を微調整し続けて進軍。Arrigi'atまで到達していると報道されている。

【戦況の確認】
・トリポリ政府軍は南方への突出に現時点では成功している。04/07反撃初期位置(Al-Sawani南部)からの進撃総距離は約37km
・LNA中央は阻止できず明らかに中央突破されつつある。
LNA右翼は根本から分断孤立の危機に瀕している。
・Tarhunaを獲っているためLNAは一見右翼にやや広い領域を持っているように見えるが拠点はトリポリ南方面に集中しており右翼部隊の活動主範囲は中央突破された位置に近い。

⇒LNA右翼は撤退中という話もあるが、中央への反撃に討って出て押し返す可能性がある。即時発起が為されなければ間に合わない。
⇒トリポリ政府軍は中央突破・突進を継続中。完全にLNA右翼を分断するのであればSidi-Salih空港方向での局所包囲か、あるいはかなり大胆だがガリヤンまで突進するかもしれない。ただ中央両肩の拡大がほとんど為されていない。即時発起しなければ40km近い突出部で包囲をすることになる。
⇒GNAがガリヤンまで到達した場合、Yafrenで耐えているGNA側勢力と合流ができ更に戦況が改善される。
20190408~09
20190407~08

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04/09
・戦線そのものは大きく動かなかった。
・8日~9日でLNA右翼は踏みとどまり後退しなかった。それどころか激しく戦闘を続けている。これによりGNA突破部隊は肩口の拡大がうまくいかず細長い突出形のままとなってしまっている。この肩口の圧力は逆に突破部隊が遮断されるリスクを生み出している。
・GNA中央突破部隊の前進が停止。ガリヤン北部で撃退されたと報道。

20190409~10
20190408~09




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【備考】
04/04~04/05 
東方向への突出が確認される。(第9旅団の一部がTerhounaへの進撃)この地点はトリポリから65km南東。事後進展が無い。意図は

可能性1:トリポリへ向けて進撃する部隊の東側面及び南東背後の脅威を取り除きかつこの地点のトリポリ政府軍の状況を偵察する目的。Terhounaまでは主要道路が通っており、かつ道路網と人口密集街はこの地帯は少なくTerhounaはトリポリ南東一帯へ影響を及ぼせるため。

可能性2:広域包囲を企図したがトリポリへ向かう部隊が進展したため中止した。可能性は低い。北上攻勢が激しい戦闘を見せ始めたことからしても2日目の方針転換で対応できる速度ではない。もし広域包囲を狙っていたならTerhounaからの主要街道を通った北上(Garabulli狙い)か北東攻勢(Al Khoms狙い)の痕跡があるはず。事後の第9旅団の動きからしても矛盾している。

結局4/9時点まではGNAの東からの攻勢即時発起は無かった。第9旅団は大きく迂回してトリポリに向かうこととなった。軍事目標がトリポリ奪取なら結果的に不要な戦力分散だった?期間的に影響なかったのかの判断に第9旅団内訳データ必要。
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 状況の正確な情報についてコメントしていただけたらとても助かります。