半分はフランス電子図書館の紹介でもあります。
 ナポレオン戦争末期の騎兵マニュアルについて記された書籍が電子公開されているので紹介してみます。初版は1818年に著され発刊は1819年、つまりナポレオン失脚直後になされています。著者はドイツ人ですがナポレオン麾下で出世した軍人です。

書籍名と各国での発刊

 ドイツ語『Vorlesungen über die Taktik der Reuterei. Elemente der Bewegungskunst eines Reuter-Regiments』原本 1819年初版発刊 翌年第2版 最終第3版1826年発刊
 フランス語『Tactique de la cavalerie. Suivie d'élémens de manoeuvres pour un régiment de cavalerie.』※第2版を翻訳 1821年発刊
 英語『On The Uses And Application Of Cavalry In War: From The Text Of Bismark, With Practical Examples From Ancient And Modern History』※第2版を翻訳 1855年発刊

 騎兵部隊の展開を記した図が付録されておりドイツ語版とフランス語版の図が同一なことは確認できますが、なぜか公開されている英訳版に見当たりません。(私が見落としただけかもしれませんが)
 日本語訳は無いと思うのですがもしありましたらどうか教えてください。 
ナポレオンの騎兵部隊の細かい展開方法などが記された書籍の元文献はこの本に行きつくことがあるかと思います。英訳版は補足のためかだいぶページ数が多く、英訳版の各章は次のようになっています。
______________________
第1章:戦術・戦略 定義(Tactics - Strategy - A Definition)
第2章:騎兵の特性(Characteristics of Cavalry)
第3章:騎兵の戦術(Tactics of Cavalry)
第4章:交戦の特性(Characteristics of Engagement)
第5章:騎兵の組織(Organization of Cavalry)
第6章:継続(Continuation)  内容は移動の際の騎兵間の距離、将校の位置、武器など
第7章:騎兵の位置(Position of Cavalry)
第8章:騎兵の動き(Movement of Cavalry)
第9章:騎兵の交戦(Engagement of Cavalry)
第10章:自軍の位置と行動を遮蔽する際の騎兵の諸作戦(Operations of Cavalry in Covering the Positions and Movements of an Army)
第11章:敵を偵察する際の騎兵の諸作戦 (Operations of Cavalry in Reconnoitering the Positions and Movements of Enemy)
第12章:騎兵の歴史における主な出来事(Principal Epochs in History of Cavalry)
APPENDIX
_________________________
 各章のリンクがあるgooglebooksがわりと使いやすいです。
リンク
https://books.google.co.jp/books?id=s28DAAAAYAAJ&pg=PR11&hl=ja&source=gbs_selected_pages&cad=3#v=onepage&q&f=false

著者略歴

 原本の著者はフリードリッヒ・ヴィルヘルム・フォン・ビスマルク(Friedrich Wilhelm von Bismarck)中将です。
 豪勢な名前な彼は1783年ドイツのヴィンハイムハノーファーに生まれ、1796年に13歳で軍歴を開始。最初は英国に仕えハノーヴァー朝英王国ドイツ人部隊(いわゆるKing’s German Legion)に1804年から所属し本格的に北ドイツ地方での戦闘に加わります。しかし決闘沙汰を起こし1807年に離隊、ヴェルテンベルク軍の騎兵大尉として実質的に傭兵になります。

 ヴェルテンベルク軍はナポレオンと同盟するドイツ諸邦の部隊であり、1809年頃からナポレオン軍の一員に彼はなります。ここでマッセナ元帥の指揮下となり経験を積んでいきます。1812年ネイ元帥の軍団に所属しあらゆる戦闘に顔を出すようになります。翌年の内にすぐ彼は第1軽騎兵連隊(Chevau-léger)の連隊長になったことからも、相当な経験を積んだ優秀な騎兵隊指揮官だったことが伺えます。
 1813年10月ライプチヒの戦いでナポレオン軍が敗北した際に彼は捕虜になりました。既に国際情勢は逆転しておりドイツ諸邦は対仏同盟軍側につくことになり、彼も同様に対ナポレオンの部隊指揮官として務めます。ナポレオン戦争の終結時に彼は大佐級に昇進してヴェルテンベルク軍の主要指揮官になっていました。

 彼は1819年に少将になる直前、ナポレオン戦争での騎兵経験を記録に残すためマニュアルを作成し発刊しました。それが本著となります。この後彼は引退までに複数の軍事書籍を記していきました。プロイセンやサクソンへの大使も担い1830年に中将に昇進、引退は1848年でした。それから12年後に亡くなります。

騎兵部隊展開図

 騎兵部隊の展開を記した図が書籍上だと少し見づらいのでいくつかこのサイトに貼っておきます。
 元はフランス国立図書館の電子公開サイトにあり、ダウンロード自由ですし拡大もできます。ただし商業利用は図書館の許可が必要ですのでお気を付けください。

リンク
https://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k6555072t/f352.double

※ Gallicaはフランス国立図書館が1988年以降に進める電子化プロジェクトの1つでサイト運用開始は1997年

 かなり膨大な図書があるようですがいまいち軍事書籍のタグがわからず、タイトル検索するくらいしか私は使いこなせていないです。誰かおすすめ教えてくれないでしょうか…。

Tactique_de_la_cavalerie_Tactique_de_la_cavalerie_ (2)
Tactique_de_la_cavalerie_ (3)Tactique_de_la_cavalerie_ (4)
Tactique_de_la_cavalerie_ (5)Tactique_de_la_cavalerie_ (6)

Tactique_de_la_cavalerie_ (7)Tactique_de_la_cavalerie_ (8)
Tactique_de_la_cavalerie_ (9)Tactique_de_la_cavalerie_ (10)
Tactique_de_la_cavalerie_ (11)Tactique_de_la_cavalerie_ (12)

Tactique_de_la_cavalerie_ (13)Tactique_de_la_cavalerie_ (14)
Tactique_de_la_cavalerie_ (15)Tactique_de_la_cavalerie_ (16)
Tactique_de_la_cavalerie_ (17)Tactique_de_la_cavalerie_ (18)

Tactique_de_la_cavalerie_ (19)Tactique_de_la_cavalerie_ (20)

Tactique_de_la_cavalerie_ (21)Tactique_de_la_cavalerie_ (23)

Tactique_de_la_cavalerie_ (24)Tactique_de_la_cavalerie_ (25)
Tactique_de_la_cavalerie_ (26)

以上です。面白い記述や別資料との比較などあれば教えていただけないでしょうか。