マルチドメイン作戦の一環として宇宙関連の軍事要素はその重大性を拡大し続けています。衛星を用いた通信あるいは画像観測は地上部隊や航空部隊の作戦に大きく影響し、計画立案時には適切に宇宙関連能力を配分することは必要不可欠となりました。しかし宇宙関連能力を全ドメインと統合し協調した作戦行動を取るための手法は発展段階にあり、まだ米軍ですら空白と呼べる問題事項があるようです。

 米陸軍の宇宙作戦将校には、米陸軍宇宙及びミサイル防衛司令部/陸軍戦略司令部の計画立案に携わっているJ.V.ドリュー2世少佐という人物がおられます。少佐はたびたび陸軍向けに、統合運用の視点から宇宙関連機能がどう使われるのか、あるいはどういう制限があるのかといった説明を非常にわかりやすく説明してくれています。
 今回はこのドリュー少佐が米陸軍季刊誌に寄稿した2つの論文を基に記そうと思います。翻訳している箇所も部分的にありますが推敲しておらず略も多いため、メモ書き程度だと思って読んでいただけたら幸いです。
Visualizing the Synchronization of Space systems

 前半はマルチドメイン作戦をする上で宇宙関連の基本事項(宇宙の3地域、軍事作戦に影響する宇宙環境、責任所掌)を記し、後半には実際に上級司令部での演習で使用されたチャート図を用いたクロスドメイン調整の例の説明を書くこととします。
 宇宙関連能力、例えば衛星などに対する知識理解を他分野の人々がそこまでしていない場合もあり、色々と苦労が起きていることが仄めかされています。チャート図は実際にどういう風に作戦コンセプトが固められていくのかがわかりやすいので、そこだけでも読んで頂けたら嬉しいです。

【 作戦レベルのインテリジェンスの中にある陸軍が抱える空白
_マルチドメイン作戦の一部としての宇宙 】

【はじめに】

・米陸軍は2028年までにマルチドメイン軍化を目指す戦略ビジョンを持って進んでいる。装備の近代化、地球全体規模の米軍の存在感の維持、大規模戦闘作戦の訓練は差し迫った課題の一部に過ぎない。これらの試みの中で、陸軍は宇宙作戦のための新たな戦闘司令部を確立することをサポートしながら宇宙ドメインに対する役割と責任を再評価している。
Drew-img

・作戦レベルのインテリジェンスのプロセスに宇宙ドメインの考慮事項を反映する上でギャップが存在してしまっている。効果的なマルチドメイン軍になるために、軍は戦略レベルと戦術レベル両方の宇宙インテリジェンスを接続し始めなければならない。作戦レベルの戦闘を計画立案するため、陸軍のインテリジェンスの必要性を統合軍に伝えるため、そして現在地上と空の脅威に対して行われているような有意義な戦術的階層の分析を提供するために、それが必要なのだ。

・今日の作戦レベルの軍隊にとって宇宙インテリジェンスの概念モデルは任務化、情報収集、処理、解析活用、配布(TCPED)プロセスにほぼ相当する。作戦レベルのインテリジェンスの専門家はこのプロセスを使い情報、監視、偵察(ISR)のアセットを活用し、地上作戦の意思決定を行う司令官に情報を伝えることとなっている。

・このプロセスは確かに重要だが、宇宙の能力の一側面つまり収集にしか対応していない。インテリジェンス専門家が戦場のインテリジェンス準備(IPB)の過程で、他ドメインの能力を考慮した方法を反映させていないのだ。最も簡単な言い方をすれば、「宇宙インテリジェンス」は独立した取り組みでは無く、作戦レベルの編制のためのインテリジェンス全体の取り組みの中の制度化された一部であるべきなのである。

(一部略)

戦場のインテリジェンス準備(IPB)プロセス

 IPBプロセスにおいて、全ての陸軍司令官は次の4段階の手順を採用する。
【1】作戦環境の定義
【2】作戦への環境の影響を説明
【3】脅威の評価
【4】脅威コースの決定(Threat COA)

【1】作戦環境の定義

 宇宙ドメインにおいては衛星、地上局、エンドユーザー用機器、そしてそれらを繋ぐネットワーク・アーキテクチャーといったものが存在する。これが作戦責任地域にどう作用するかを把握する。

 衛星は全ての機体が同一の能力を持っているわけでもいつでもその能力を発揮できるわけでもない。
 衛星には3つの軌道領域が存在し大きく特色を分けている。3つの機動とは低軌道(LEO)、中軌道(MEO)、静止軌道(GEO)である。

低軌道の衛星
・衛星はある対象の上に滞在はできず高速で通り過ぎるように動く。
・作戦責任地域を衛星は数分間で通り過ぎ去る。
・例として画像撮影衛星、イリジウム社の衛星配列(後述)がある。

中軌道の衛星
・衛星はある対象の上を通り過ぎるように動く。
・作戦責任地域を衛星は数時間で通り過ぎ去る。
・例としてGPS、グローバル測位システム用の衛星配列がある。

静止軌道の衛星
・地球表面に対しほぼ衛星は静止した相対位置を取り、ある対象の上に滞在し続ける。
・衛星は通常は赤道上に居続けるが、半球全体にサービスを提供する。
・例えば広帯域グローバル衛星通信システム(WGS)、超高頻度後続衛星(UFO)
LEO_MEO_GEO
※ 図は一部編集

【2】環境の作戦への影響

 宇宙作戦では宇宙環境と地球環境を考える必要がある。宇宙環境は宇宙にある機能および宇宙システムのリンク区域へと影響を与え、地球環境はリンク区域と地上局へと影響を与える。インテリジェンスの専門家は地球環境の影響については精通していることが多いが、宇宙環境も軍事作戦に影響を与えることを把握しなければならない。

重力
 宇宙環境には重力が物理的作用としては支配的に存在している。重力ゆえに、衛星の軌道パターンは普通なら定常的であり敵にも味方にも予測可能となりやすい。
 重力特性があるため、静止軌道の位置は非常に価値がある。作戦計画立案者は軌道を重要な地形として指定されるものと考慮するべきだ。静止軌道上の衛星は致命的に重大で防御されるべき資産に値する。

 重力だけなら環境は穏やかなのだが他に3つの主要影響要素(太陽活動、極端な温度、デブリ)があり、作戦立案者はこれらの影響による偶発的事象も起こりうるということを思考にいれておかねばならない。この偶発的事態に備えて衛星を複数用意し的確な配列にすることで対処するのである。

極端な温度
 (例えば太陽光直射部分は極端に熱くなり逆に陰の場所は冷たくなる。)衛星が受ける温度は予測可能であり、エンジニアはこれに耐えられるように衛星及び諸機能を設計する。

太陽活動
 太陽活動はほとんど予測不可能だ。太陽活動の影響で宇宙にある機体が放電現象を引き起こすことにより衛星の機能に異常をきたす可能性がある。太陽活動は(地上局や衛星、端末の間で交わされる)信号に干渉して直接的/間接的にリンクを妨害し得る。太陽活動の影響を受けやすいシステムは入念な計画を作るべきだ。

デブリ
 軌道デブリは衛星を定期的に危険に晒してくる。軌道上の施設群を保護するためには主に地上レーダーを使い宇宙の状況を把握し続けることが不可欠だ。インテリジェンス計画者は諸兵科連合軍宇宙構成司令部(CFSCC)に留意するべきだ。この部隊は宇宙の状況認識とインテリジェンスのソースについて責任を担っている。

大気内の気象
 大気の内部ではリンクと地上局などの宇宙関連施設に対する気象の影響がある。この区域では例えば地形によってはGPSや衛星通信信号をブロックしてしまう可能性がある。
 暴風雨があると衛星通信の特定周波数の接続状況や、宇宙の移動型アセットのオプションやあるいは対宇宙機能のオプションが制限されてしまうし、打ち上げ時刻も影響を受ける。雲に覆われてしまうと、画像収集が妨げられミサイル警報が遅れる可能性がある。こういった制限と代替手段を計画段階から考慮しなければならないのだ。
 逆に我が軍にとって地上の要素次第で、敵の宇宙からの監視を逃れるための手段(例えばカモフラージュ無線沈黙、軍事的欺瞞、対宇宙作戦)を要請する可能性がある。

民事
 宇宙関連システムは民間に大きく根差しておりその影響を配慮しなければならない。民間人が政府管理の衛星放送から情報を入手しているか、地上部隊が指揮できる地元テレビ局やラジオ局があるか、地上局は地元住民や難民の流れにどれくらい脆弱か、などといった事項を全て総合的に検討しなければならない。

【3】脅威の評価

 原則として、宇宙システムは3つの区域で構成されている。即ち宇宙区域(衛星)、地上区域(制御およびデータ処理局)、リンク区域(2つを接続しデータの通過を可能にする電波)である。

 地上作戦と同様に宇宙関連の脅威を評価するには、全区域の敵の戦闘順序(OOB)と敵が通常その力を使用する方法に関する広範な知識が必要だ。
(略)
Evaluation the threat

【4】脅威コースの決定

 考えられる敵の選択肢の一般的な議論を行う。軌道上のオプションとしては、衛星の配列を最適化するために再配置したり、軌道上の空間状況認識衛星を使用して敵の衛星を観察することが含まれる。地上のオプションには妨害機の使用地上局オペレーターのより安全な施設への移動、追加機能を提供するための新しい衛星打ち上げ準備が含まれる。リンク区域においては、敵はユーザートラフィックの優先を変更し、ビーム(電波を送受信できる空の範囲)のサイズを小さくしてサポートを集中し、妨害攻撃に対する脆弱性を減らし、暗号化プロトコルを更新し、軍事トラフィックを商用システムにより軽減させる。

 作戦レベルではこれらの宇宙ドメインを全ドメインの活動と統合することが不可欠だ。多くの場合、従来通りのマニューバ及び射撃計画が各戦闘機能と共にねられ、そして宇宙とサイバー要素がそのプロセスの終わり近くになって「ボルト固定」される。ただし敵の宇宙オプションの予想活動コースが無ければ、作戦レベルのインテリジェンス計画者は、地上部隊が全ドメインに渡って敵の活動を予想する全体的コースを作成改善できない。
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※ 補足 脅威コースの決定
threat COA
参照 FM 34-130/MCRP 2-12A chapter 1
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【誰の責任所掌か】

 戦闘司令部のような戦略レベルの組織は、より全体的な統合プロセスに焦点をあてることになる。結果としてはそれは詳細にはあまりならない。陸軍の師団などの戦術レベルの組織は、他ドメインの最も関連性の高い機能(作戦中の航空支援など)を考慮して、主にそのドメイン固有の区域に焦点を当てるだろう。陸軍の師団は戦場とその中の敵を詳細に分析把握することに多大な注力をしている。ただ、戦略レベルと戦術レベルを繋げることは作戦レベルの指揮であり、これは米陸軍全体で宇宙ドメインに関するインテリジェンス像の統合が不足している場所でもある。

 おそらく、3種類の軍組織が作戦レベルのIPBを実施する責任を負う。野戦軍、陸軍の軍団司令部、および陸軍構成部隊司令部(ASCC)である。

(略)

 



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参考文献
The Army’s Gap in Operational-Level Intelligence for Space as Part of Multi-Domain Operations
https://www.armyupress.army.mil/Portals/7/military-review/Archives/English/JF-20/Drew-Space-Intelligence.pdf 

追記
2020/2/18 軍事専門サイトmiltermが日本語完訳記事作成してくれたので、そちらを参照。
マルチドメイン作戦の一環としての宇宙についての作戦レベルのインテリジェンスで米陸軍が抱えるギャップ
http://milterm.com/archives/1071
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※以下は別の論文。

【 作戦計画立案における宇宙システムの調整の視覚化 】

 これまで以上に米国の軍事作戦にとって宇宙システムは不可欠になってきている。衛星、地上局、エンドユーザー用機器、そしてそれらを繋ぐネットワーク・アーキテクチャーによって米国はグローバル規模での作戦の遂行を可能としている。かつて米国は宇宙分野で優位であったがここ20年それは縮められ、米国の宇宙関連施設に対するアクセス拒否低下妨害破壊を行う敵国能力は大幅に拡大してきた。
(※米空軍などでサイバー空間の脅威を表現するのに使われる致命的5要素=Deadly 5D=deceive, degrade, deny, disrupt, destroy。欺瞞が抜けている。)

 対衛星システム、ジャマー、サイバー活動そして核兵器は米国の宇宙システムに軽視できない脅威をもたらしており、我々は真剣にその脅威を考慮に入れた作戦計画立案を考えねばならない。どのよう味方、敵、中立の宇宙システムが作戦環境に影響を与えるかを軍部は予想し視覚化することができなくならねばならない、なぜならもはやアメリカは将来の争いで宇宙システムへの無制限のアクセスを享受できなくなる可能性が高いからだ。そのような環境下で相対的アドバンテージを獲得し維持するためには宇宙システムの活動を含む全てのドメインにわたる戦術的行動の同調が必要だ。戦略的な目的を達成するためにである。

 複数の形態で宇宙システムは作戦立案者に多様な使い道を選ぶことを可能としてくれている。他の各ドメインでの作戦行動と宇宙システムの協調(シンクロ)を達成を始めるために、コンセプト立案において如何に運用するかを視覚化する方法と同様に、宇宙システムとその潜在的役割の基準線となるものを統合軍は情報共有しなければならない。その目的に向けて本記事は宇宙システムの実用的な説明をもたらし、宇宙システムの活動と他ドメインの活動の協調を始めるために参謀が作成するコンセプト的作業成果物の例としての視覚化ツールを提供する。

宇宙システムの定義

※本章は略し、概要メモのみ。
 ナポレオン戦争の経験からジョミニは戦役を諸作戦のシステムを構成する補完的機能の相互作用として捉えた。彼の見解では、成功した指揮官はシステムを作成する方法とそれを効果的に運用する方法の両方を理解していたという。現代においては複雑な作戦環境と膨大な利用可能手段により、一人の指揮官が作戦システム全体を詳細に理解するのは不可能である。しかしシステム構成要素の概念的な理解は必要だ。各作戦システム全体の部分集合として、宇宙システムは複数の特別の考慮を必要とする。なぜならそれは複数の形態で提供され様々な性能を発揮するからであり、その一部は軍部の人々の大部分にとって馴染みのない場合があるのだから。

 統合軍ドクトリンは宇宙システムの定義を書いているが、そのシステム理論の本体には多岐に渡る定義が存在する。広く有用な定義の1つは「representation of an entity as a complex whole open to feedback from its environment」だ。
(中略)例えば衛星の内部にある各構成要素(ガイダンスとコントロールを司るサブシステム)を1つのシステムと捉えることもできるし、複数の衛星を1つのグループあるいは群配置をする大きなシステムとして捉えることもできる、といったことが述べられている。ニーズによって定義の余地がある。
 統合軍のドクトリン内では「宇宙システムとは3つの関連した区域によって構成される。即ち地上、リンク、宇宙である。」と定義され、この理解は作戦的適用には多くの場合充分であるものの、拡張的ではない。この宇宙システムの考え方は特に作戦計画立案者にとって便利なものとなるだろう。
 
 重要なのはこの宇宙システムの定義は宇宙ドメインに特定的なモデルの使用をさせないようにしていることだ。それは次の3つの要因による。
 まず1つ目は、衛星それ自体は宇宙空間に存在するが制御局とアップリンク/ダウンリンクのサイトは地上、海、空に存在するということだ。
 2つ目は衛星を有効にするネットワーク・アーキテクチャが電磁的スペクトルを利用しており、サイバードメインの要素によるデータの経路と処理に依存していることである。
 最後の3つ目に、ジャマー、ミサイルさらに核兵器などのシステムは他のドメインから、または他ドメインを通って、他ドメインの中で作戦行動してくる可能性があるということだ。従って一般的に宇宙ドメインの議論はクロスドメインの性質を内包することになる。よってそのようなシステムを全体的にどのように定義できるかに実用的な制限があるとしても、作戦計画立案者は宇宙システムの相互結合性に注意しなくてはいけない。

有効化手段

 計画立案の目的のために、宇宙システムを2つのカテゴリーに分類できる。有効化手段敵性手段である。敵性手段とは(敵が使うという意味では無く攻撃的な手段という意味で)他の宇宙システム、例えば有効化手段をを脅かすものであり、自軍と敵軍がそれをどう運用するのか考慮する必要がある。本記事では敵性手段とは異なり、敵の宇宙システムに(直接的)有害な影響を与えず、マルチドメインの軍事作戦を支援する友好的な宇宙システムの様々な使用を可能にする有効化手段に焦点を当てることとする。その有効化手段とは次のものがある。

防御的宇宙コントロール=defensive space control (DSC)
環境監視ミッション=the missions of environmental monitoring (EM)
ミサイル警報=missile warning (MW)
情報、監視、偵察=intelligence, surveillance, and reconnaissance (ISR)
衛星通信=satellite communications (SATCOM)
衛星測位システム=position, navigation, and timing (PNT)

 有効化手段の作戦への統合はここ40年にわたる統合軍の目標の1つだ。現代の軍隊ではインテリジェンス担当参謀はルーチンワークとして宇宙を基盤とする何らかの要素をその作戦レパートリーに組み込み、宇宙作戦を担う将校が地形と敵の活動が我が方の衛星測位システム(PNT)の精度に及ぼす影響をモデル化し、ミサイル警報システム(MW)は良好に構築された散布アーキテクチャを享受し、SATCOM(軍事と民間の両方)はグローバルな通信連絡を可能とし、サイバー作戦の導管として機能する。このような戦術的な統合が現代の軍事的作戦とは不可分であり、作戦術は他の各ドメインと関連している宇宙ドメインの能力を協調させるための方策について、さらなる概念図を求めるようになった。こういった概念図はより詳細な計画を可能とするだけでなく戦術オプションの生成にも役立つ。

視覚化ツール

 作戦枠組み内で宇宙システムを有効化するには、作戦立案者が他の各ドメインの作戦と共にその時間、物理的空間、目的を協調させる方法を検討しなければならない。作戦立案者が衛星事態の軌道を操作する可能性は低いが、地上局の設置無線周波数分布、そして潜在的な敵の行動の考慮事項その全てが作戦の問題事項に関連しているため、システムとしてのアプローチは特に重要だ。

 下記に示す図は高等軍事研究院(SAMS)の指揮幕僚大学での最近の演習においてその初期ステージで展開された各軍事活動の協調(シンクロ)及び視覚化ツールに基づくものである。これは主に作戦上の問題事項に対する概念的なアプローチにおいて作戦計画チームを支援することを目的とした計画用ツールである。今回のバージョンでは、軍団レベルでの作戦とそれを可能とするために利用できる可能性が高い宇宙関連能力を直接的に説明している。今回のものより多くのアセットが運用できるかアセットを要請して使用する権限がより高い戦闘司令部あるいは戦区レベルでの作戦の場合、グラフィックの詳細は変更されるだろう。だが一般形式は実用的なものだ。これは詳細に正確な協調のためのツールではなく、計画立案過程の後半で詳細な協調を開始する前に参謀間で共通の理解を得るためのツールだ。そのためこのグラフィックは時間と場所ごとに利用可能な宇宙作戦を視覚化する手法を与えている。この場合は地上の強襲に合わせて、いくつかのドメインあるいは全てのドメインでの各作戦を含めるように適合させることが簡単にできる。
(各行の説明は次章)
Visualizing the Synchronization of Space systems
Symbol & Abbreviation for Space systems

 今回の視覚化ツールは14行で構成されているが、行数は各ミッションの必要性に応じて増減させる。通常はチャートの上半分が地形、天気、予想される味方及び敵の配置などといったミッション分析中に考慮される従来からある要素を示すだろう。下の第9行~12行は検討中の宇宙関連システムが可能とする任務を表示している。
 実際に検討する場合は、計画立案者たちはホワイトボードなどに草稿を書きながら討議・考察してチャートをアップデートしていくことになる。状況に応じて複数のチャートが準備されることになるだろうし、破棄することもある。状況によっては多少の詳細化が必要になる場合があるが、コンセプトと詳細部の間の相互影響を管理する過程が計画の発展を促すだろう。

 今回の計画の視覚化は地上攻撃開始日(G-Day)から始まり、開始日の後に5日間たった日(G+5)までを扱っている。

従来からある要素の視覚化

 上の第1行~8行はミッション計画立案の間に考慮すべき従来からある要素を表示する。時間の経過基準、日ごとの空任務サイクルの各段階、日照時間帯および気象データ、そして敵と味方の状況が書かれる。

第①行日付
 第1行は地上攻撃開始日(G-Day)を基とした時間経過の参照用である。

第②行空任務命令
 第2行はG-Dayと関連している空任務命令(ATO=Air Tasking Order)を示している。
 G-Dayにおいて、諸兵科連合部隊は(文字列の一番上にある)空任務命令『C』を実行している。だが他の文字(D、E、F)で書かれた各空任務命令は将来の実行に繋がるように計画立案と準備の各種段階にある。(翌日G+1には空任務命令『D』を実行し、E、F、Gが準備段階にある。)
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※補足
統合ATサイクル
 航空任務サイクル
参照『エア・パワー研究(第5号)  米軍エアー・タスキング・サイクルとその課題 -作戦サイクル構築の視点から- 柳田 修』
https://www.mod.go.jp/asdf/meguro/center/AirPower5th/09ken04.pdf


第③行日照時間
 第3行は日出時刻と日没時刻によって日照期間を表している。黒いバーの両端に日出と日没時刻を描くことで視界が得られる/限られる時間を一覧できるようにしている。

第④行天候
 第4行は予報されている雲量と風速を含む地上の天候を示している。
 宇宙特有の要素を組み込む最初の行だ。予想されるシンチレーション(電離層内の粒子の帯電)記号が表示されており、衛星通信とGPS信号が低下する可能性があることが視てわかるようになっている。
 シンチレーションは通常、赤道の北20度からまたは南20度からの緯度で発生する(中央アフリカおよびインド太平洋域とおおよそ考えられる)のだが、実際の現象がどうなるかは絶対的な予測はできない。さらにこれらの事象の強さと通信への影響度も予測が困難である。従って地上の気象の考慮と同様にシンチレーションを考慮することは作戦に柔軟性を組み込む際の計画要因として貢献するだろう。 
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※補足
scintillation_region_1
『S4 Scintillation index at GPS L1 (1575.42MHz) assuming constant local time (2300) at all longitudes.』
https://www.sws.bom.gov.au/Satellite/6/3


第⑤行地形
 第5行は自軍の作戦のタイミングに影響をもたらす重要地形を示している。視覚化ツールに表示される地形は地図分析から決定された重要な地形に対応しており、山や川あるいは沼地などが含まれるだろう。
 今回の例には示されていないが、端や市街地などの人工地形要素も含まれる場合がある。地図は詳細な計画を立案するためのさらに正確な手段を与えてくれるが、こういった概略的グラフィックにさえも重要地形の特徴または目標間の距離の初期分析を含むべきなのだ。
 今回の立案作業のこの行においては、視覚化によって地上部隊はG-Day及びG+1では山へと到達することが容易にわかる。そしてG+2日に主要渡河複合目標(Objective PennsylvaniaまたはOBJ PA)に到達する。もう1つの渡河作戦はG+4にあり、沼地を進むG+5がそれに続くことが一目でわかる。

第⑥行配置された敵
 時間的および空間的な関係性でテンプレート化された敵配置を示している。自軍インテリジェンスによって、G+1の暗闇の時間帯に敵の機械化偵察旅団が山岳の混乱区域を占領することを表示している。川の渡河複合要素(橋や浅瀬)を防御してくるであろう敵主力部隊(機械化歩兵師団)は、G+2日までに配置についてくる。そこでは組織的な電子戦(衛星およびGPS妨害装置を含む)と増援可能距離内の作戦予備戦力を用いてくるだろう。2個目のの敵師団は2つめの川を越えた先の沼地の近くで防御してくると予想されており、G+4日に会敵するだろう。


第⑦行自軍部隊の予定配置
 第7行は自軍部隊の予測される配置を示している。G-Dayにおいて軍団は戦術的集結地域におり、特殊作戦部隊が作戦を開始している。主力部隊は戦術的集結地域を離れる際に、前進通過線(FPOL=Forward Passage of Line)を遂行する。そして2個歩兵師団は敵部隊とその混乱区域内で遭遇することになる。G+2日に主要渡河複合目標(OBJ PA)を確保することを予定している。

第⑧行】追加用
 第8行が示すように、さらに完全な情報グラフィックであれば、個々の機動部隊、友好的ホスト国軍、ロジスティクス活動などの追加の行をここに含めることができる。
 宇宙システムと作戦術の焦点を持ちながら、以下の追加の行は宇宙関連の有効化手段を視覚化する方法の例を示す。

宇宙関連の有効化手段の視覚化

 第9~12行はミサイル警報(MW)、衛星測位システム(PNT)、宇宙を基盤とする偵察監視諜報(Space-based ISR)を示し、第13行は防御的宇宙コントロール任務を表す。

第⑨行ミサイル警報システム(MW)
 第9行は衛星を基盤としながらミサイル警報(MW)に従事している部隊の状態をそれぞれ表す3種類の線が示されている。

・青線は、米国を基盤としながらミサイル警報用に活動している空軍部隊を示している。この部隊は継続的に任務にあたっている。
・茶色線は、米国中央司令部の陸軍統合戦術地上局(JTAGS-CEN)のMW活動の有効時間帯を示す。
・緑線は、ヨーロッパ司令部の陸軍統合戦術地上局(JTAGS-EUR)のMW活動を示す。

 今回のシナリオでは3つの堅牢な通信アーキテクチャを通じて各タスクフォースにミサイル警報をもたらすことができている。G-Dayにおいて、EURの緑線が上昇しCENの茶色線が低下しているのは、JTAGS-EURがミッションに参加した直後にJTAGS-CENがミッションを修了する予定であることを示している。敵ミサイルが活動するのは戦役の序盤である可能性が高いことを考えると、作戦計画立案者はJTAGS-CENに予定のメンテナンス期間を延期し、任務を継続するよう要請することができるだろう。また、JTAGS–EURが予定されているより早くミッションに参入するように要請するのが賢明かもしれない。

第⑩行衛星測位システム(PNT)
 行10は衛星測位システム(PNT)の状況を表している。

・青線=自軍のGPSシステム
・赤線=敵軍のグローバルナビゲーション衛星システム(GNSS)

 線の高さはシステム精度の高さの概念フローを示している。通常の作戦プロセスにおいては、GPSの精度は衛星の(対象との)相対的な動きの結果として低下あるいは上昇する。地形と敵電子戦活動もGPS精度に影響するだろう。
 今回のGPS線のカーブでは自軍が山岳地帯にいる時のG-DayとG+1日において地上要素の精度が低下する。G+2日には渡河地点のそばで敵の主力が電子戦アセットを使ってくるためGPS精度は低下すると予測されている。G+4日に自軍が川を渡る際に敵電子戦が活動し3度目のGPS低下時間帯が訪れるだろう。より小さな凹み箇所は、数時間の夜間の(第3行に示された)大気シンチレーションの潜在的な影響を反映している。
 こういった予想されている精度低下は地上作戦行動部隊に影響を与える可能性があるが、精密誘導兵器及び無人航空システムの運用にも影響を及ぼす。

 それに対して、敵のGNSSカーブはその軍が山岳地帯に移動するためG-Dayに僅かに低下するが、作戦の残りの期間においては安定したままであろうと予測されている。
 よって今回の演習の参謀は、劣化した自軍GPS精度の影響を緩和する方法と敵の衛星ナビゲーションシステムを更に低下させる方法の検討を始める場合がある。計画の詳細部に移行するにつれて、参謀の宇宙作戦担当者はコンピュータのモデリングとシミュレーションを通じて、シグナル強度の低下がPNTシステムに問題を引き起こし始める時間帯とそれが作戦計画にどう影響するのかを決めなければならない。視覚化ツールのもっと詳細なバージョンでは、これ以外にも様々な機能に対するシグナル低下を表す値線を描いておくことができる。

第⑪行衛星通信(SATCOM)
 コンセプト上は第11行SATCOMの機能は第10行と類似するものだ。衛星通信を考慮する場合、1行でもいいが軍隊が使用している衛星配列の数だけ図に衛星通信行を追加することもできる。

・青線は一般的に使用されている軍事衛星通信システムである広帯域グローバル衛星通信システム(WGS)の可用性を表している。
・灰色線は民間宇宙関連企業の運営するイリジウム衛星システムの可用性を表している。この民間システムを米軍は頻繁に使用している。(民間システムは軍優先とは限らず、敵が使う可能性もある。)

 第10行に表されているGPS精度と同様に、第11行のWGSの可用性はシンチレーションや地形そして敵活動に影響を受けて低下する可能性がある。これら予想される低下は計画立案が続くにつれてもっと詳細な分析を必要とする。イリジウム衛星の場合、この低下は衛星がカバーする範囲のギャップを表す。こういった事象を予測することによって通信に発生する障害程度を予想できる。 
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※補足 イリジウム系統衛星通信
Iridium_Coverage_Animation
イリジウムコミュニケーションズ社が運営している衛星電話、衛星インターネットアクセス用衛星。
イリジウム衛星も同様にシグナル強度は時間帯によって上下する。
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第⑫行情報、偵察、監視(ISR)
 第12行は宇宙をベースとした情報、偵察、監視のプラットフォームを表している。
 第10行のPNTのように、青は味方を表し、赤は敵を表している。
 第11行のSATCOMのように、灰色はどちらの交戦集団にとっても情報収集を強化するために利用可能な民間商業システムを示している。これは重要なことだ。そのような商業的なものは、アメリカだけでなくその他の国、敵にも情報収集を強化するチャンスを与えているのだ。
 短い線は、衛星がその作戦域の上の宙を通過する時にできる観測窓を示している。線が無い所は、衛星が物理的に作戦を監視することができない時間帯を示している。これらの観測可能時間の長さは各衛星の性能とその軌道によって異なる。典型的な画像衛星は、5~7分で地平線からもう一方の地平線までを通過してしまう。そしてその衛星配列の他の機体が定期的にその地域の上の宙を再訪するだろう。

 シギント(SIGINT=電波や通信シグナルの諜報)用の衛星は、その衛星ごとの軌道特性ごとであるが数分または数時間で見えなくなる場合がある。シギント用の静止衛星は特定の場所を継続的に監視できる。

 G-dayにおいて、敵の電光(EO)画像観測衛星が我が軍団の集結エリアを撮影できる位置にいる。商業用レーダー及び商業用電光画像観測システムもこの期間中に我が軍の情報を集めている可能性がある。我が方のレーダー画像はG+DayとG+1日の間の夜に敵が山岳渓谷に移動した場合に情報を収集するオプションを提供してくれる。あるいは雲が電光撮影衛星の視界をブロックした場合にレーダーは活躍する。またG+1日では敵の宇宙機体はシギント、通信統制を促進する計画を進める予測情報、あるいは軍事的欺瞞対策情報を収集する位置にいる。

第⑬行防御的宇宙コントール(DSC)
 第10行及び11行は宇宙システムの運用の際に考慮される脆弱性のいくつかに視点を置いたものだ。衛星への、そして衛星からの通信を保護するには衛星通信リンクを監視して敵からの干渉を検出するDSCミッションが必要だ。第9行のミサイル警報部隊と同様に、第13行は多様な地理的位置にある部隊とその作戦テンポを表している。

・緑の線はヨーロッパ(EUR)に配備されているDSC部隊の活動を表している。
・紫の線は太平洋(PAC)に配備されているDSC部隊の任務を表している。

 本演習では緑のヨーロッパDSC部隊は定常的な状態で作戦行動をとっており、インフォグラフィックの確保のために1つ以上のWGS衛星のチャンネルを監視している。紫の太平洋DSC部隊はG+2日に任務を終了する予定となっている。このグラフィックは太平洋DSCの任務外状態を示しており、必要に応じてこの部隊のアセットを追加支援オプションとして提供できる可能性があることを計画立案者に教えてくれている。タイムラインがG+5日を越えたらこのアセットが再び活動をする場合があるだろう。

第⑭行強調点、意思決定ポイントの欄
 第14行はこれまでの各行の分析に基づいて、指揮官と参謀が計画立案及び図上演習中に考慮する様々なオプションと潜在的な意志決定ポイントを強調するための行である。
Global-information-grid-2

終わりに

 軍事目的に宇宙システムを使うのは以前からある考えであるが、将来の紛争では作戦立案時に宇宙システムの適用を深く理解して運用することが必要になる。宇宙システムとその機能をマルチドメインに作戦を行う軍と協調的行動をとらせる方法を完全に理解している者たちは、敵に対して非対称的な優位性を享受できるだろう。宇宙システムとその協働のトピックは、任意の数の衛星、衛星配列、地上局、周波数を含むように拡大する可能性がある。ミサイル警報(MW)、衛星測位システム(PNT)、衛星通信(SATCOM)、情報偵察監視(ISR)、防御的宇宙コントロール(DSC)のミッションを協調させることは、引き続き統合軍の主要な関心事項であり、宇宙システムを理解し、視覚化し、シンクロさせるための有用な出発点である。

 視覚化及び計画立案用ツールとして、今回紹介したインフォグラフィックは各オプションの活用を促進し、宇宙システムの展開を知らせるかあるいはそれを使える機会があることを奨めてくれるような、コンセプト的な協調を可能とする貴重なサービスをもたらしてくれる。このように、宇宙作戦は計画立案プロセスの不可欠な部分となり、初期段階から全ての戦闘機能のコンセプトの立案に貢献する。作戦の実行によって更新された視覚化情報は、宇宙システムが現在の戦術的活動にどのように貢献しているか、そしてどう戦略的目標のために軍隊の進捗を促進するかについての洞察をもたらしてくれるだろう。さらに作戦計画がコンセプトから詳細部へと(そして時には詳細部から戻って)進行するにつれて、宇宙システムの運用計画も同様に詳細へとつめられなければならないだろう。

 この観点において、このグラフィックは現代の紛争のマルチドメイン的性質、各ドメイン間でアセットを協調させる必要性、そして協調に伴う戦場の幾何学性の拡大を表してもいるのだろう。作戦立案者が時間と物理的空間で自軍と敵軍の配置を視覚化できるのなら、その脆弱性やチャンスがさらに容易に明瞭化するのだ。両軍の対応を予想することで、指揮官と参謀には多様なオプションと潜在的な意思決定ポイントが作られる。それが第14行だ。こうしてその計画は立案プロセスの早い段階で現れ、指揮官と参謀のサポート関係を活用して、各リソースをより早く要請できるようにするのである。

 確かに宇宙システムの拡大的な考慮事項は作戦に更なる複雑性をもたらすが、多様なドメインとそれらにある無数の手段が戦略的目的を達成するためにどのように連携することができるかを理解するのは作戦術の特性でもある。実際問題としてこれは非常に難しい。指揮官と参謀が多様な分野で作業し、あらゆるドメインの各手段について少なくとも一般知識を持たねばならないことを意味するのだ。統合軍のドクトリンが述べているように作戦術の複雑なプロセスは必然的に、指揮官と参謀の活用可能な手段について知識、戦術とドクトリンの理解、そして創造的な応用をあみだす能力に依存したものなのだ。この構造の中で、マルチドメインの作戦術は各部署間の調整と共有された任務についての理解が醸成されることを意味する。そのような適用において宇宙システムはもはや不可欠であるし、ドメインを越えて作戦行動する傾向があり、従来のドメインでは実行されない手法で作戦術の包括的検討をせざるを得なくする可能性がある。従って、現代における指揮官と参謀は宇宙ドメインを数多ある作戦術の使用例の内の1つとして、時間やマルチドメイン空間そして目的の調整がされた宇宙システムの戦術的行動を伴いながら考えなければならないのだ。









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参考文献

Maj. Jerry V. Drew II, U.S. Army 著

Visualizing the Synchronization of Space Systems in Operational Planning
https://www.armyupress.army.mil/Portals/7/military-review/Archives/English/JF-19/Drew-Space-Systems.pdf

ドリュー2世少佐の経歴


J.V.ドリュー2世少佐は米陸軍の宇宙作戦将校。
米陸軍宇宙及びミサイル防衛司令部/陸軍戦略司令部の計画立案に携わっている。
彼は米陸軍第1宇宙旅団、第1宇宙大隊のS3(大隊や旅団の訓練や計画に責務を負う将校)であり、第1中隊B分遣隊の指揮官を務めた経験もあり、それから高等軍事研究院へ入り2018年に卒業。そして陸軍構成部隊司令部から新(再)編成されたアメリカ宇宙軍へと宇宙関連組織の移行を進める計画チームとして初期策定を行った。

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以上です。
ここまで読んで頂きありがとうございました。
こういった宇宙ドメインの作戦の実践的使用手法について、何かご存じのことがあればぜひ教えてください。
戦史の探求 2020年1月18日






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メモ

(TAA=Tactical Assembly Area)

・ドリュー少佐は文中で攻撃能力を持つ衛星をカミカゼ衛星あるいは誘拐衛星(kamikaze or “kidnapper” satellites)と呼んだCNNの記事を紹介している。この論文は米陸軍全体で読まれる知名度の高い誌に載ったことを考えると、カミカゼ衛星の名が公式に定着してしまうかもしれない。


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※補足 disruption zone
Zone_Support_Battle_Disruption
【第2-38項】
 混乱区域(Disruption Zone)=米国が想定している敵軍(OPFOR)が使ってくるであろう所掌区域の1つで、攻撃ゾーンの先にある。ここを地上部隊や航空部隊は混乱を生み出す役割を担って攻撃してくる。特に想定敵国の軍は長距離砲撃で混乱区域に対して攻撃することで相手を拘束し混乱させてる。混乱区域内で攻撃行動をとってくる想定敵国の部隊は特殊な編制をしている。
【第2-39項】
 混乱区域での想定敵国軍の特殊な行動は次のものがある。

・相手の工兵機能への攻撃。これにより相手は複雑な地形を進み作戦を効果的に続ける能力を喪失する。即ち戦闘区域内において撃滅される状態に晒されるであろう。
・相手の偵察アセットを奪い取りながら、標的を縦深的な射撃で交戦して相手の攻撃能力を拒絶する。 これには相手の航空攻撃および偵察部隊を阻止するための防空活動が含まれる。
・相手の部隊を彼らの準備が充分でない予定より早い時期に展開せざるをえなくし、あるいは攻勢準備を妨害する。
・敵の重要な要素を偵察できるようにし、それを維持する。
・相手に自軍部隊の位置を誤認させるように欺く。

参照:Headquaters Department of The Army, (2011), "TC 7-100.2"
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マルチドメイン作戦における陸軍航空 マイケル・J・ベスト大佐およびグレン・A・リッツイ
Aviation Assetsの記事 日本語訳が為されている
https://aviation-assets.info/army-aviation/army-aviation-in-multi-domain-operations/
fig2-Army-Aviation-in-Multi-Domain-Operations

space defense structure