戦史の探求

戦史の情報を整理し探求するサイトです。 古今東西の全てを対象とし、特に戦況図や作戦図に着目しながら戦略・作戦・戦術について思索します。

 本拙稿は包囲戦術の中でも包囲環が敵の動きに合わせて柔軟に進退を繰り返す、即ち弾性型の包囲戦術について傾向の概説と戦例を記載します。

 周囲を囲んだだけでは勝利とはならずその後どのように敵の反撃に対処し殲滅するかいくつかのバリエーションがあります。弾性はそのための方策の1つです。前半に弾性包囲の典型的流れを紹介し、後半には実際の戦例を複数記載します。弾性は優秀な敵すら偽装退却にかかる理由の1つであると考えています。個々の部隊の動きについて、現代ロシア軍が採用をしているマニューバラブル(防御)というより包括的なコンセプトの一部であると言えるかもしれません。
(以下本文 敬略)

elastic-envelopment-gif-smallsize
<弾性の包囲典型例gif> サイト編纂者作成
続きを読む

 1780年10月、ノースカロライナ州の山林でアメリカ独立戦争の南部戦線において戦略的に非常に重要な戦いが行われました。会戦名はBattle of Kings Mountain。互いに訓練した民兵を少数の士官が率いる苦しい戦いでした。この戦いは独立派も王党派も互いに激しい戦闘士気を見せ、戦術的に意義深いものを見せてくれています。(以下 本文敬略)
Revolutionary-War-Battles-Kings-Mountain-3
続きを読む

 古代西アジアにおいて2つの大国が熾烈な戦いを繰り広げました。高名なローマとパルティアの戦争です。彼らの戦争は数多の犠牲の上に成り立つ名将と呼ばれる者達を生み、戦史に大きな教訓を残しました。その初期に行われた戦いの1つ、カルラエの戦いは後の時代でも使われ続ける代表的な戦術を示してくれています。

 この戦いは片側の圧倒的勝利に終わりますが、決して敗者が、その将と兵士たちが嘲笑を受けるような姿勢を見せたからではありません。カルラエの戦いにおいてローマ軍とパルティア軍はどう戦ったかのかを歴史書の記述から思索しながら追ってみることとします。
carrhae-overall
(以下本文 敬略)続きを読む

 本稿は2018/1/20に始まったトルコ軍及び親トルコ派反乱軍によるシリア北西部アフリン郡への侵攻作戦『オリーブの枝作戦(Operation Olive Branch)』の諸条件を記述する。

 空軍を含めた各地点戦闘の日足分析は別拙稿 [トルコ軍の空爆・砲撃と陸軍の進軍経過]を参照
olivebranch
(画像ソース:http://www.haberyirmi.net/2018/02/tskoso-duz-ovaya-indi-afrin-son-duru.html )続きを読む

turkish air bases トルコ軍及びTFSA(親トルコ系自由シリア軍)のアフリン州におけるSDF(YPG等クルド中心のシリア民主軍)への攻勢「オリーブの枝作戦」が開始され多少の遅滞はあれど大方において進軍は成功している。その中でトルコ空軍は重大な役割を果たしている。初期においてはアフリン市街などの戦線後方拠点、SDF移動路といった点に対する戦場航空阻止の攻撃、そして戦線付近での近接航空支援などで多くの報道がなされている。
 今回は作戦の前期、中期、そして後期にそれぞれ分類し、各段階におけるトルコ空軍の爆撃地点に注目しながら陸空の連携を一部であるが紹介したい。これは報道が基であり、トルコ軍の公式戦闘記録が将来発表されれば再度検証する必要がある。
(画像ソース:https://www.globalsecurity.org/military/world/europe/airfield-tu.htm )
________________
関連別拙稿:ユーフラテスの盾作戦

operation123
続きを読む

↑このページのトップヘ