戦史の探求

戦史の情報を整理し探求するサイトです。 古今東西の全てを対象とし、特に戦況図や作戦図に着目しながら戦略・作戦・戦術について思索します。

February 2018

※本稿は現代戦の作戦コンセプトを規定したFM3-0を踏まえた上で米軍野戦教範FM3-90 第2章を編纂者が拙い邦訳抜粋を行い、軍事思索の際の基本とした上で近代~古代戦において注記しておくべき箇所を別記事で書いていくためのドラフトです。
 酷い散文になっていても何卒ご容赦ください。

【作戦/戦術のコンセプトにおける汎用的事項】

     米軍事作戦ドクトリンの階層構造 
- Doctrinal Hierarchy of Operations -

米軍の戦闘教義の考え一覧_FM3-90 tactic Chapter2_翻訳
<米軍野戦教範FM3-90 Chpater 2 添付図邦訳>続きを読む

【浸透の手法】

5-1. 浸透の概説

 浸透(Infiltration)とは、敵支配地域を通るか中に入り発見されないように行動し、敵の側背の効果的な位置を確保するために攻撃するマニューバのことです。その際には敵の防御火力にはほんの僅かしか晒されないようにします。
 (米軍野戦教本FM3-90)
Infiltration_concept
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【迂回攻撃の概念】

4-1. 迂回攻撃の概説

  軍事的な迂回攻撃(Turning Movement)とは敵の待ち構えている箇所でぶつかることを避けて先に進むことを指します。
迂回によって敵の主力または一部をその陣取っていた場所から引き剥がし、戦闘効率を低下させた場所で決戦を強制させることができます。
 野戦築城技術や火力の向上によって陣地戦が強力になった時代で迂回は必須のマニューバであり、広義の意味では間接アプローチ(Indirect Approach)の一部とみなされます。
image492

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【包囲運動の基本概念】

3-1. 包囲運動の概説

 包囲(envelopment)は戦史において突破と並びその絶大なる効果を示してきたマニューバです。
包囲は敵の側面や後背を含む複数方面から行われる攻撃であり、実行ためには指揮官や兵卒に高い練度が必要です。
 包囲は古より現代まで試行錯誤がなされ発展し続けています。ある程度の原則を基にしながらも時に新技術や兵科により全く斬新な包囲方式が考えられることもあります。

Maneuver-3_クロコトニッツァの戦い_ブルガリアの包囲殲滅戦術
                                       (戦例:Battle of Klokotnitsa_ブルガリア軍が東ローマの大軍を包囲撃滅)

米軍野戦教本 FM 3-90 Tacticsにおいては以下のように定義されています。
「包囲とは、敵現在位置において撃滅するために、敵軍の側面を目標として追い求めることによって攻撃部隊が敵防御の主体を回避することにつとめる運動の1つである」
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We maneuver in order to bring fire on the enemy.
We bring fire on the enemy so that we can maneuver.
One should not happen—indeed could not happen—without the other.

US Army retired COL James McDonough, (1993), "The Operational Art: Quo Vadis?"

【 正面攻撃の分析】 

1-1. 概説


 正面攻撃 ( Frontal Assault ) とは「敵にとっての」正面に対する攻撃を意味します。
Maneuver-1_正面攻撃

 一見工夫が無いと感じてしまうかもしれませんが、この戦闘形態はシンプルであるが故に深い思索を必要とするものです。指揮官は必ず正面攻撃について悩まされることとなるでしょう。

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