戦史の探求

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カテゴリ: 戦記

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1-1. 武門の一族

 ハーリド・イブン・アル・ワリードはクライシュ族の中の有力一門である マフズーム家(バヌー・マフズーム)の生まれである。マフズーム家は特に戦ごとに責務を負う一族であったと言われている。この一族はクライシュ族が戦で乗る馬を育て訓練し、遠征軍の準備とその仕組を調整することができた。訓練された馬だけでなく未調教の若馬やラクダも乗りこなし馬上で戦えるようになることを求められた。それ故に戦時においてこの一族の者が指揮官格を占めることが多くあったのである。その武門の空気を吸いハーリドは育っていくこととなる。
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He promised himself battle. He promised himself vicotry. And he promised himself lots and lots of blood.
      ー『 神の剣:ハーリド・イブン・ワリードの生涯と戦役集』第1章より抜粋 ー 
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 本稿はイスラム勃興を支えた不世出の将ハーリド・イブン・アル・ワリードの参加した数多の戦役とその会戦における指揮を追っていくものである。そしてその中で彼がなぜ圧倒的な戦歴にも関わらず不遇の扱いを受けたのか、特にその軍事勢力の特性から紹介したい。

イスラムの勃興
< イスラム勃興期の急激な勢力拡大 >
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