戦史の探求

戦史の情報を整理し探求するサイトです。 古今東西の全てを対象とし、特に戦況図や作戦図に着目しながら戦略・作戦・戦術について思索します。

タグ:シリア

現在ロシア軍が訓練とシリアでの実戦データ収集を続けている機甲による戦法『タンク・カルーセル』について記述します。関連する『タンク・トラゥザーズ』戦法と『シリア式塁壁』についても触れることにします。

 内実は循環移動射撃戦法と呼ぶべきものであり、基本コンセプトは古くから続くショット&アウェイです。科学技術進歩に伴い複合的に進化した機甲車両と砲兵隊によって、このコンセプトを現代戦の中で実践する手法として再び現れました。ロシア軍、シリア軍、ウクライナ軍による実戦運用と訓練が進められており、米軍も少しずつ研究を続けています。
 長所と短所の両方があるこの戦法の特性について調査して判明した範囲で説明し、次に戦術の中でこの戦法がどう活用されるのかをロシア軍の演習を例に記そうと思います。

 まだ不明点が多く実戦記録も十分でないため、別の資料や戦車運用の知見をご存じの方の意見をどうか伺いたく思っています。発展性と制限性の両方がある極めて興味深い戦法だと感じています。なにとぞご助力お願い致します。
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 ISIL支配域を奪取するため競うように行われた3勢力の攻勢についてユーフラテスの盾作戦を中心に追っていき、最後にトルコのシリア侵攻において実施された3つの作戦の関係性を振り返ろうと思います。
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関連別拙稿:【オリーブの枝作戦】報道からみるトルコ軍の空爆・砲撃と陸軍の進軍経過
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operation123
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 本覚書はシリア内戦におけるシリア北西域を巡り、2016年1月~2017年2月末まで展開された作戦群の進展について記載します。
 (本が出るのを待っているのですがその間に忘れそうなので覚書を残すというのが目的です。全く詳細では無いのでお許しを。疑問点も多く、シリア内戦の外交変遷を追っている人のご意見を伺いたいのですが…)

 シリア民主軍(SDF)の2方向からのマンビジ攻勢西部アル・バーブ攻勢トルコ軍によるユーフラテスの盾作戦、シリア政府軍東部アレッポ攻勢が覚書の主要素となります。
 これらを複合した進展は極めて奇怪な事象を示しました。

事象

 弱体1勢力の特定領域に対し、他3勢力がより多く自領域を奪取するために同時的に軍事侵攻した。しかし外交等の非武力分野による影響もあり他3勢力同士の軍事衝突が極端に抑えられ、結果としてまるで並んで競う軍事侵攻レースのような形態が現出した。
20161118
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turkish air bases トルコ軍及びTFSA(親トルコ系自由シリア軍)のアフリン州におけるSDF(YPG等クルド中心のシリア民主軍)への攻勢「オリーブの枝作戦」が開始され多少の遅滞はあれど大方において進軍は成功している。その中でトルコ空軍は重大な役割を果たしている。初期においてはアフリン市街などの戦線後方拠点、SDF移動路といった点に対する戦場航空阻止の攻撃、そして戦線付近での近接航空支援などで多くの報道がなされている。
 今回は作戦の前期、中期、そして後期にそれぞれ分類し、各段階におけるトルコ空軍の爆撃地点に注目しながら陸空の連携を一部であるが紹介したい。これは報道が基であり、トルコ軍の公式戦闘記録が将来発表されれば再度検証する必要がある。
(画像ソース:https://www.globalsecurity.org/military/world/europe/airfield-tu.htm )
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関連別拙稿:ユーフラテスの盾作戦

operation123
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 2011年3月よりアラブの春と呼ばれる寡占型政府打倒運動が始まった。それは単純な民主化のみならず民族主義、宗教主義、そして諸外国の思惑を巻き込み巨大な武力衝突の場となりみるみるうちに秩序を崩壊させた。反体制派の初期の隆盛と外国の支援、ISILと呼ばれるイスラム過激派の勃興、クルド系北部勢力の伸張、シリア政府軍の逆襲。各々の戦役は限られた軍事力の中で苦心して造られたものである。ここにその戦役集を一部紹介したい。

…そのうち各戦役書いて行く予定です。すいません。

『ラッカ戦役』 北域SDF及び有志連合の南進_北部_2017/1/17~4/5

Raqqa Campaign (2016~2017)
 複数の大規模な戦術的攻勢が連動し最終的に一つの作戦目標に対し結集している。高度な連携であり、見方によっては複数の小戦役群による作戦術概念の適用と言う者もいるようだ。

『ユーフラテスの盾作戦』トルコ系軍の北部拡張_北中部_2016/8/24~2017/3/26

Trukish Occupation of Northan Syria 
Operation Euphrates Shield 

『アレッポ東域攻勢』 北域政府軍の東進_北中部_2017/1/17~4/5

East Aleppo Offensive (2017 Jan~)

『マスカネ平原攻勢』 北域政府軍の南進_北中部_2017/5/9~7/8

Maskanah Plains Offensive


『ホムス東域攻勢』 中央政府軍の東進_中部_2017/3/5~5/12

Palmyra Offensive (2017)
Eastern Homs Offensive

『シリア南部砂漠戦役』 政府軍の南部反体制派抑え込み_南部_2017/5/7~7/13

Syrian Desert Campaign

『シリア中央戦役』 政府軍の大拡張_中部_2017/7/14~10/21

Central Syria Campaign

 この中央戦役はロシア・イラン・シリア政府軍の作戦術の結集であるとみなしている。
 北部の『マスカネ平原攻勢』、中央部の『ホムス東域攻勢』、南部の『シリア南部砂漠戦役』という3つの離れた場所での戦役は全て一つの戦略のために立案された攻勢であり、作戦術の概念に基づき指揮が行われている。これらの戦役が同時的に行われ、連続的に進行し、最終的に結集させた作戦術の結果こそこの『シリア中央戦役』とそれに伴う政府軍の戦略的優勢の確定である。
 

『シリア東部戦役』 政府軍SDFの競争_東部_2017/9/14~12/17

East Syria Campaign

『オリーブの枝作戦』 トルコ系軍のアフリン奪取_北西部_2018/1/21~

    2018/1/21よりトルコ軍及びTFSA(親トルコ派自由シリア軍)はシリア北西突出部のアフリン州への軍事侵攻を開始した。トルコ政府はこの作戦を「オリーブの枝作戦」(Operation Olive Branch)と名付け、権力集中を行っているエルドアン大統領肝いりの戦争として発動した。

オリーブの枝作戦概要 (戦略目標、作戦基本方針、戦力、地形区分、時間区分)

作戦前期の陸軍の戦術的傾向

作戦中期の陸軍の戦術的傾向

作戦後期の陸軍の戦術的傾向


トルコ軍の空爆・砲撃に着目した進軍経過

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