戦史の探求

戦史の情報を整理し探求するサイトです。 古今東西の全てを対象とし、特に戦況図や作戦図に着目しながら戦略・作戦・戦術について思索します。

タグ:作戦

 現代ロシア陸軍の指揮管理の基本事項について非常に巧くまとめた論文の紹介です。
 タイトルは『ロシア流戦争手法 - ロシア陸軍における軍部の構造、戦術、近代化』となっています。軍部全体の人事組織や階級章、兵器の説明から分隊~旅団までの基本配置なども図示されています。各項目の詳細部には深く立ち入るものではありませんが、総括して視る英語版ハンドブックとして良いものとなっています。

原題】:The Russian Way of War - Force Structure, Tactics, and Modernization of the Russian Ground Forces
公開】:2016年
発刊部署】米陸軍調査センター外国軍事研究オフィス(Foreign Military Studies Office)

 下記軍事サイトの書籍説明文と各著名専門家コメントが最も端的に本書を表現しています。
https://www.mentormilitary.com/The-Russian-Way-of-War-Ground-Forces-Tactics-p/gra-rwow.htm

「強大なるソ連陸軍はもういない。チェチェンで出くわした無謀なるロシア陸軍ももういない。今あるのは近代化され、より人的に洗練され、核兵器脅威下でマニューバ戦闘のためによりよい装備を持ちよりよいデザインを為されたロシア陸軍である。この本はユーラシアの強大国の戦術、装備、軍部の構造、そして理論的基盤についての資料となるだろう。」

 英国のCharles Dick戦闘研究調査センター前所長、モスクワの軍事科学教授Vadim Kozyulin博士、Ruslan Pukhovモスクワ戦略&技術研究センター所長らが賛辞を送っていますが、どれもソ連崩壊後と現在のロシアのギャップを埋める、2008年からの改革の成果を反映した現代ロシア軍についてのここ10年で最もまとまった本であるという趣旨です。ソ連分析の専門家として高名なD.M.Glantz大佐は本文にもまえがきを送っています。
 本文の大半はロシア政府が公開している複数の軍事資料を図含め丁寧に英語化(図はほぼそのまま)して整理していると思われます。
戦術核攻撃_敵予備へ_1988
 以下にはその一部を図を中心に紹介し、おおよそ本書の雰囲気が伝わればと思っています。文章翻訳などはしておらずメモ書きだけですので、きちんとした説明が為されている原本をどうかご参照ください。

 あとロシア式の戦況図と兵科記号を覚えるのに役立つ気がします。ロシア式戦況図が好きなんで同志が増えてほしいです。
___以下部分的抜粋紹介________________________
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 『シュロゲー・タクティコールム(Sylloge Tacticorum=Συλλογή Τακτικών )』は10世紀にギリシャ語で記述された著者不明の東ローマ軍事書籍です。様々な状況に対応するための方策や戦術を過去の軍事書や東ローマ(ビザンティン)軍の経験に基づいて計102項目にわたり編集されています。おおよそテーマが章まとめされており以下のような構成になっています。

1~57項 (⇒ リンク後日作成)
:各種軍事ノウハウ(指揮、包囲戦、戦闘や行軍隊形、戦利品分配、敵強襲への対応、奇襲方法、伏撃、野営地設営、将校のポスト、諜報活動、戦闘停止、他...)
58~75項  
:直接的武力行使以外での軍事方策(食料や水場への毒、焦土戦術など)
76~102項 (⇒ リンク後日作成)
:その他指揮に関する古代ローマ&ギリシャ教訓集など

※ 同じく10世紀に軍事的に活躍した皇帝ニケフォロス2世フォカスを中心に『Praecepta Militaria』が記されましたが、この軍事書にはシュロゲー・タクティコールムを基礎としている箇所が複数あります。(変更箇所も)

Sylloge Tacticorum Georgios Chatzelis氏とJonathan Harris氏による英訳版を基に個人的に面白いと感じた部分を紹介していこうかと思います。(部分抜粋の上で超訳です。植物などの単語はおそらく間違いあると思うので気づいたら教えて頂けたら嬉しいです)
 英訳本に詳しく説明が書かれていますが、現在のテキストにはいくつか検証すべき問題点があり東ローマ研究者の方々が進めてくれています。本サイトはただの紹介で検証などはしていないので、興味がある方は原著をぜひ読んでみてください。
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※ 本記事はアンカラの戦いの会戦戦術そのものについては記述せず、その場所に到るまでにティムールが行った戦略と諸作戦、特にその行軍について記します。

 中央アジアで覇を唱えた大アミル・ティムールが小アジア及びバルカン半島で拡大を続けるオスマン朝のバヤジット1世と対決したアンカラの戦いは広く知られています。
 両国共に隆盛期であり数多の戦歴を重ねそして勝ち続け巨大な勢力となっていました。2大国の衝突は大会戦へと到り戦争そのものに決定的な勝敗を生み出します。ここで展開された作戦について記述してみたいと思います。
Timur_Campagin at Asia Minor
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 2019年春、米空軍大学出版のAir & Space Power Journalにある論考が掲載されました。論題は「Small Unmannned Aerial Systems and Tactical Air Control」。ハースト少将が記述したこの論文は空軍そして陸軍による航空軍事作戦・戦術のコンセプトに対して極めて興味深い思索をしています。これから少し経った3/28、ハースト少将は軍事安全保障サイトWar on the Rocksに寄稿、論作の中で取り上げた戦術的空域コントロールの概念とその背景について要約した解説をしてくれました。
 今回この戦術空域コントロールコンセプトについて意見を少しでも聞けたらと試訳を行いました。

Hurst-1-768x564

 以下訳文
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発達しゆく戦術空域コントロールを巡る戦闘

Jules Hurst著  2019年3月28日

 空域コントロールを巡る競争の中で、小型無人航空システムの成熟と拡散普及により新たな段階が生まれている。2017年、ISILと米軍の支援を受ける軍事勢力との間で戦術的制空権(Tactical Air Supremacy)を巡る最初の戦闘の1つが戦われた。1000$未満の商業ドローン即席ジャマー、そして小規模武装の間の戦いだ。ISILが2000フィート(約600m)以下の航空優勢を握っていた期間でも、米軍と連合軍はそれより上空の制空権を握っていた。
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スコットランド国立図書館公開戦史資料

 スコットランド国立図書館(National Library of Scotland)が所蔵公開している資料の紹介です。
軍事地図ページアドレスは下記で、ここからいくつか分野ごとに資料へと繋がります。
https://maps.nls.uk/military/ 

 この図書館サイトの特徴的な利便性は、文章目次に加えてグラフィック地図から地点クリックで図版を辿れるようにしていることです。特に塹壕地図集は使いやすく充実しており塹壕戦愛好家(?)の間では有名だそうです。
 極めて簡潔に使用法解説を図書館サイトでしてくれているので日本語紹介する必要無い気がしますが…一応書いておきます。

第一次世界大戦塹壕図集

『WW1西部戦線塹壕MAP集』 →説明ページリンク
https://maps.nls.uk/ww1/trenches/info2.html

 図版集グラフィックインデックス →リンク
https://maps.nls.uk/geo/find/#zoom=8&lat=50.0508&lon=2.8399&layers=60&b=1&point=0,0

【使用方法】
 グラフィック図版集を開くと使用方法がでます。毎回出るので右下にある「使用方法を再度表示はしない」をクリックしておくほうがいいかと思います。
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 使い方は至ってシンプルで、地図上の茶色枠で囲われた箇所をクリックすれば該当する塹壕図が右側に一覧で表示されます。時期が短文で書かれているので目当てのものを選べば図版が表示されます。
 図版データはどれもかなり巨大でズームアップしないとよく見えないかと思います。フルサイズダウンロードは購入すれば見れますがほぼ必要ないほどスコットランド国立図書館のサイトの利便性は良いかと感じます。
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 またこのグラフィック地図状態からそのまま左側にある「Find a Place」で条件を変えれば他の地図集のグラフィックインデックスへも直接飛べます。例えば英国の19世紀の住宅地図が見たければGreat Britain, Ordenance Surveyをカテゴリ選択すれば良いだけです。
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 21世紀の日本では地図の公開は広く行われていますが、近代において詳細地図は軍事最重要情報の1つとして機密扱いの物もあり調査保管も軍関係の部署が担当しました。
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 以下は軍事地図ホームから見られる各カテゴリの紹介です。
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