戦史の探求

戦史の情報を整理し探求するサイトです。 古今東西の全てを対象とし、特に戦況図や作戦図に着目しながら戦略・作戦・戦術について思索します。

タグ:弾性包囲

 戦史において古代ギリシャとオリエントは欠かすことのできない発展の礎と位置づけられています。トゥキュディデスやクセノフォン、アッリアノス、フロンティヌス等の戦史家達は軍隊の動きをある程度把握できるほど詳細な記録を編纂し残してくれました。

 本稿はペロポネソス戦争初期において、個々の戦闘技術で上回るスパルタ軍の重装歩兵にアテネ軍が作戦・戦術によって対抗したスファクテリアの戦いについて記述します。
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 本拙稿は包囲戦術の中でも包囲環が敵の動きに合わせて柔軟に進退を繰り返す、即ち弾性型の包囲戦術について傾向の概説と戦例を記載します。

 周囲を囲んだだけでは勝利とはならずその後どのように敵の反撃に対処し殲滅するかいくつかのバリエーションがあります。弾性はそのための方策の1つです。前半に弾性包囲の典型的流れを紹介し、後半には実際の戦例を複数記載します。弾性は優秀な敵すら偽装退却にかかる理由の1つであると考えています。個々の部隊の動きについて、現代ロシア軍が採用をしているマニューバラブル(防御)というより包括的なコンセプトの一部であると言えるかもしれません。
(以下本文 敬略)

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<弾性の包囲典型例gif> サイト編纂者作成
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 1780年10月、ノースカロライナ州の山林でアメリカ独立戦争の南部戦線において戦略的に非常に重要な戦いが行われました。会戦名はBattle of Kings Mountain。互いに訓練した民兵を少数の士官が率いる苦しい戦いでした。この戦いは独立派も王党派も互いに激しい戦闘士気を見せ、戦術的に意義深いものを見せてくれています。(以下 本文敬略)
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 古代西アジアにおいて2つの大国が熾烈な戦いを繰り広げました。高名なローマとパルティアの戦争です。彼らの戦争は数多の犠牲の上に成り立つ名将と呼ばれる者達を生み、戦史に大きな教訓を残しました。その初期に行われた戦いの1つ、カルラエの戦いは後の時代でも使われ続ける代表的な戦術を示してくれています。

 この戦いは片側の圧倒的勝利に終わりますが、決して敗者が、その将と兵士たちが嘲笑を受けるような姿勢を見せたからではありません。カルラエの戦いにおいてローマ軍とパルティア軍はどう戦ったかのかを歴史書の記述から思索しながら追ってみることとします。
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【包囲運動の基本概念】

3-1. 包囲運動の概説

 包囲(envelopment)は戦史において突破と並びその絶大なる効果を示してきたマニューバです。
包囲は敵の側面や後背を含む複数方面から行われる攻撃であり、実行ためには指揮官や兵卒に高い練度が必要です。
 包囲は古より現代まで試行錯誤がなされ発展し続けています。ある程度の原則を基にしながらも時に新技術や兵科により全く斬新な包囲方式が考えられることもあります。

Maneuver-3_クロコトニッツァの戦い_ブルガリアの包囲殲滅戦術
                                       (戦例:Battle of Klokotnitsa_ブルガリア軍が東ローマの大軍を包囲撃滅)

米軍野戦教本 FM 3-90 Tacticsにおいては以下のように定義されています。
「包囲とは、敵現在位置において撃滅するために、敵軍の側面を目標として追い求めることによって攻撃部隊が敵防御の主体を回避することにつとめる運動の1つである」
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