戦史の探求

戦史の情報を整理し探求するサイトです。 古今東西の全てを対象とし、特に戦況図や作戦図に着目しながら戦略・作戦・戦術について思索します。

タグ:攻城戦

 日露戦争について最初に製作されたロシア帝国軍の公式戦史を紹介しようと思います。

日露戦争1904-1905年(Русско-японская война 1904-1905 гг)
製作】ロシア帝国軍参謀総局 軍事史委員会(военно-исторической комисиии)
出版年度1910年
【日露戦争史編纂委員会委員長】ヴァシリー・グルコ少将(当時)_Гурко, Василий Иосифович

 戦争直後の1906年、ロシア帝国軍参謀総局は公式日露戦争史編纂のために軍事史委員会を設置しました。この戦争に参戦したグルコ少将の指導の下で委員会は詳細な記録を集め、地上戦に関し極めて緻密な図や統計を含んだ全9巻の書籍を4年の歳月をかけ完成させます。

 21世紀に入り、Runiversというロシアの図書電子化プロジェクト団体がこの書籍を公開してくれています。
 勿論記されている軍公式の解説文も戦争直後の認識を知るための貴重な資料なのですが、特にありがたいのは巨大な図を高解像度で見られることだと思います。ページ数だけで330以上、組織やシステム図まで足すと360枚以上の図があり細かく地形や部隊配置が記されています。戦況全体だけでなく各衝突部ごとにピックアップされているので1つの戦域だけで数十枚になっています。旅順の要塞は戦闘が激しかった防塁の設計図と日本軍の接近ルートが載っています。しかも戦況図などは部隊がカラー化してあります。ぜひ図集だけでも目を通してみてください。

【第1巻】戦争直前の各国の動向と出来事、戦争準備
【第2巻】得利寺の戦い
【第3巻】遼陽会戦 (大石橋の戦いから奉天への退却を含む)
【第4巻】沙河会戦
【第5巻】奉天会戦
【第6巻】Сыпигайский戦闘期(満州の開原市周辺域)
【第7巻】軍の組織、システムなど戦線以外の記録、各種統計データ
【第8巻】遼東半島防衛と旅順攻囲戦
【第9巻】副次的戦線
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 攻城戦における形式の1つ坑道戦について今回は記載しようと思います。ドゥラ・エウロポス遺跡は古代ローマ/ササン朝間の武装や技術の極めて重要な資料であり、そちらの紹介も兼ねています。
 戦闘推移だけ読む方は【3世紀のドゥラ・エウロポス攻城戦_城壁補強】まで飛ばしてください。

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 近世西欧における攻城戦はかつてのローマの如く大規模な土木工事を城攻めの際に行うことが頻繁に見られるようになりました。そして守る側もまた巨大で複雑な要塞群をもって彼らを迎えました。

 今回はその中の1つ、パルマ公が行ったアントワープ包囲戦について記載しようと思います。

 オラニエ公ウィレムを中心とするオランダ独立派が行った80年戦争初期の中でも危機の一つとして数えられる戦いです。近世において名高いパルマ公はこの戦いで欧州戦史にその個性を刻み込みます。
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