戦史の探求

戦史の情報を整理し探求するサイトです。 古今東西の全てを対象とし、特に戦況図や作戦図に着目しながら戦略・作戦・戦術について思索します。

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 ネットで閲覧できるアメリカ南北戦争に関する公式戦争資料、特に戦争地図の紹介です。

 アメリカ内戦(南北戦争)は1861~65年に行われましたが、その記録を公式に残そうという試みは戦争終結前から始まっています。1864年から始まったプロジェクトは様々な収集を含みますが、一連をまとめて『Official Records of the War of the Rebellion(アメリカ内戦に関する公式記録集)』として呼ばれています。単に略してORと記述する場合もあるそうです。

 今回はその『Official Records of the War of the Rebellion』と、そのうちの軍事地図・イラスト・写真集である『War of the Rebellion Atlas』のおおまかな紹介をしようと思います。
Battle of Gettysburg

 基本的にこれらがネット上で閲覧できるのは米国の歴史資料保存およびデジタル化の「Making of America」 プロジェクトの一環です。1995年に始まったMOAプロジェクトはいつの間にか凄まじい量をネット上で閲覧可能にしてくれています。他にも興味深い資料サイトをご存じでしたら教えてください。
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 タイトルは日本語訳するなら南北戦争図集でしょうか。現在この戦争の呼称は日本では南北戦争、アメリカでは内戦(Civil War)ですが当時は反逆の戦争(the War of the Rebellion)とも呼ばれていたようです。
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 半分はフランス電子図書館の紹介でもあります。
 ナポレオン戦争末期の騎兵マニュアルについて記された書籍が電子公開されているので紹介してみます。初版は1818年に著され発刊は1819年、つまりナポレオン失脚直後になされています。著者はドイツ人ですがナポレオン麾下で出世した軍人です。

書籍名と各国での発刊

 ドイツ語『Vorlesungen über die Taktik der Reuterei. Elemente der Bewegungskunst eines Reuter-Regiments』原本 1819年初版発刊 翌年第2版 最終第3版1826年発刊
 フランス語『Tactique de la cavalerie. Suivie d'élémens de manoeuvres pour un régiment de cavalerie.』※第2版を翻訳 1821年発刊
 英語『On The Uses And Application Of Cavalry In War: From The Text Of Bismark, With Practical Examples From Ancient And Modern History』※第2版を翻訳 1855年発刊

 騎兵部隊の展開を記した図が付録されておりドイツ語版とフランス語版の図が同一なことは確認できますが、なぜか公開されている英訳版に見当たりません。(私が見落としただけかもしれませんが)
 日本語訳は無いと思うのですがもしありましたらどうか教えてください。 
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 CIAが1970年6月に入手した、ソ連・ワルシャワ条約機構軍による南欧・トルコ等NATO諸国への攻勢演習図の紹介です。
 元は冷戦が終わりCIAが公開してくれている下記ワルシャワ条約機構の分析レポートからです。1955~1985年の各種の(元)機密報告書を要約し分析をして実に短く読みやすくまとめてくれていますが、その分詳細についてもっと長く書いてほしいと思うかもしれません。多いのでとりあえず作戦図のみ紹介しますが、冷戦期写真はCIAやNARAが多数公開してくれているので元サイトなどを参照頂ければいくつも興味深いものが見られます。

掲載元
CIA公式サイト・ライブラリー
CIA Analysis of the Warsaw Pact Forces: The Importance Of Clandestine Reporting
https://www.cia.gov/library/publications/cold-war/the-warsaw-pact-forces 

CIA公式Flickr
https://www.flickr.com/photos/ciagov/sets/72157631830870415

Soviet_Map_01_-_Warsaw_Pact_Plan_of_Action_CIA

 <ワルシャワ条約機構の南欧及びトルコ侵攻計画全体図>
西側と東側と明記されている
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スコットランド国立図書館公開戦史資料

 スコットランド国立図書館(National Library of Scotland)が所蔵公開している資料の紹介です。
軍事地図ページアドレスは下記で、ここからいくつか分野ごとに資料へと繋がります。
https://maps.nls.uk/military/ 

 この図書館サイトの特徴的な利便性は、文章目次に加えてグラフィック地図から地点クリックで図版を辿れるようにしていることです。特に塹壕地図集は使いやすく充実しており塹壕戦愛好家(?)の間では有名だそうです。
 極めて簡潔に使用法解説を図書館サイトでしてくれているので日本語紹介する必要無い気がしますが…一応書いておきます。

第一次世界大戦塹壕図集

『WW1西部戦線塹壕MAP集』 →説明ページリンク
https://maps.nls.uk/ww1/trenches/info2.html

 図版集グラフィックインデックス →リンク
https://maps.nls.uk/geo/find/#zoom=8&lat=50.0508&lon=2.8399&layers=60&b=1&point=0,0

【使用方法】
 グラフィック図版集を開くと使用方法がでます。毎回出るので右下にある「使用方法を再度表示はしない」をクリックしておくほうがいいかと思います。
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 使い方は至ってシンプルで、地図上の茶色枠で囲われた箇所をクリックすれば該当する塹壕図が右側に一覧で表示されます。時期が短文で書かれているので目当てのものを選べば図版が表示されます。
 図版データはどれもかなり巨大でズームアップしないとよく見えないかと思います。フルサイズダウンロードは購入すれば見れますがほぼ必要ないほどスコットランド国立図書館のサイトの利便性は良いかと感じます。
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 またこのグラフィック地図状態からそのまま左側にある「Find a Place」で条件を変えれば他の地図集のグラフィックインデックスへも直接飛べます。例えば英国の19世紀の住宅地図が見たければGreat Britain, Ordenance Surveyをカテゴリ選択すれば良いだけです。
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 21世紀の日本では地図の公開は広く行われていますが、近代において詳細地図は軍事最重要情報の1つとして機密扱いの物もあり調査保管も軍関係の部署が担当しました。
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 以下は軍事地図ホームから見られる各カテゴリの紹介です。
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戦史の作戦図を読み解く際に、軍事シンボルの意味をネットで簡単に確認できるものを紹介しておきます。
基本米軍作成のもので英訳で意味把握となります。WW2用に使っていますが大戦直前~冷戦期には使用可能かと。

ソビエト連邦軍

ソ連兵科記号Handbook on USSR Military Forces Chapter XII_ Maps, Conventional Sign, and Symbols

(TM30-430, War Department Washington,DC, Technical Manual)
http://digitalcommons.unl.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1028&context=dodmilintel
※ロシア語対訳なし
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ソ連軍事用語・略語Glossary of Soviet Military and Related Abbreviations

(TM30-546, Department of the Army, Technical Manual)
https://fas.org/irp/world/russia/sovmil-glossary.pdf
※ロシア語対訳あり
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ソ連地形図シンボル→ Soviet Topographic Map Symbols 

(TM30-548, Department of the Army, Technical Manual)
http://www.lib.berkeley.edu/EART/pdf/soviet.pdf
※ロシア語対訳あり

ナチス・ドイツ軍

ドイツ兵科記号German Military Symbols 1944

(War Department Washington,DC)
http://maps.mapywig.org/m/m_documents/EN/GERMAN_MILITARY_SYMBOLS_1944.pdf
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ドイツ軍事用語・略語German Military Abbreviations 1943

(Military Intelligence Service, War Department)
https://www.leslufteaux.com/images/pratiqueLW/plaque/German%20Military%20Abbreviations.pdf

NATO

NATO兵科記号NATO Joint Military Symbology APP-6(C) 2011
https://www.awl.edu.pl/images/en/APP_6_C.pdf

NATO軍事用語→AAP-06 (NATO) Glossary of Terms and Definitions
2017版が出てます。クリックするとPCに保存されるタイプなので検索してください。

アメリカ軍

米陸軍
ADRP 1-02 TERMS AND MILITARY SYMBOLS
https://www.bits.de/NRANEU/others/amd-us-archive/adrp1_02%282-15%29.pdf

FM 101-5-1 OPERATIONAL TERMS AND GRAPHICS
https://www.pssurvival.com/PS/Military_FMs/FM_101-5-1_Operational_Terms_And_Graphics_1997.pdf
※基本用語の端的な解説と略語、記号の主要部分に絞っているためこれを最初に見た方がわかりやすいかもしれません。

米軍海兵隊
UNITED STATES MARINE CORPS THE BASIC SCHOOL MARINE CORPS TRAINING COMMAND
https://www.trngcmd.marines.mil/Portals/207/Docs/TBS/Operational%20Terms%20and%20Graphics%20WOBC.pdf
学生向けでNATOよりわかりやすく絞られてます。

現代系はおそらく日本語でも充実したサイトあるかと。

旧日本軍

大日本帝国陸軍軍隊符号陸軍々隊符號
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/956386

国会図書館の電子公開リンクです。クリックと逆方向にページ開いてきますのでご注意を。

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