【包囲運動の基本概念】

3-1. 包囲運動の概説

 包囲(envelopment)は戦史において突破と並びその絶大なる効果を示してきたマニューバです。
包囲は敵の側面や後背を含む複数方面から行われる攻撃であり、実行ためには指揮官や兵卒に高い練度が必要です。
 包囲は古より現代まで試行錯誤がなされ発展し続けています。ある程度の原則を基にしながらも時に新技術や兵科により全く斬新な包囲方式が考えられることもあります。

Maneuver-3_クロコトニッツァの戦い_ブルガリアの包囲殲滅戦術
                                       (戦例:Battle of Klokotnitsa_ブルガリア軍が東ローマの大軍を包囲撃滅)

米軍野戦教本 FM 3-90 Tacticsにおいては以下のように定義されています。
「包囲とは、敵現在位置において撃滅するために、敵軍の側面を目標として追い求めることによって攻撃部隊が敵防御の主体を回避することにつとめる運動の1つである」
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